時代の変化に合わせてコミュニケーションの方法も変化させましょう

社内コミュニケーション手段は変化の時を迎えている

以前までは日本の社会で飲み会を行うことは、コミュニケーション活性化の手段として常識となっていました。しかし近年では、コミュニケーションの手段も変化が見られるようになってきています。

 

飲み会はお酒を酌み交わし、おいしい料理を楽しみながら、会話や余興を楽しむことができます。日本では古くからコミュニケーションを活性化する手段として推奨されていて、飲み会とコミュニケーションを掛け合わせた、飲みニケーションと呼ばれる造語まで誕生したほどです。

しかし近年ではお酒に対する意識や価値観も変わり、会社で行われる飲み会に対して肯定的な意見もあれば否定的な意見もあり、その割合も半々となってきています。

 

仕事を円滑に進めるためにも、同僚や上司とのコミュニケーションを深めておいた方が良いことはわかりますが、会社の飲み会の形は時代とともに変化しなければならないとも言えるでしょう。

このような中から、企業ではコミュニケーションの活性化の場を、飲み会から違う形に代替する試みが進んでいます。その中でも目立っているものが、上司や同僚と一緒に昼食を食べる会社でランチ会です。

ランチミーティングなどともよばれることがありますが、飲み会に変わるコミュニケーションをはかる方法として、ランチミーティングの費用を会社が負担すると記載している企業もあるほどです。

 

飲み会をやめる理由としてあげられることは、参加者の負担の大きさや飲む人の少なさ、得るものの少なさなどがあげられるでしょう。現在の社会は主婦や副業との両立を行うなど、様々な働き方が見られます。たとえ仕事が終わったとしても、そのあとに様々な用事を抱えている人が多く、終業後に全員が数時間の飲み会に参加する時間を確保する負担が大きくなっているのです。以前まではお酒が入れば無礼講になったり、アルコールを飲むことで本音で語り合えるなどといった考え方がありましたが、若者の中でもこのような文化を持たなくなっている傾向が高まっています。

これを会社でランチ会に変えるだけで参加者の満足度も高くなり、会社の負担も少なく済むということです。

 

「飲みニケーション」から「ランチ会」にすることの効果

実際にどのような効果が得られるのかと、料理を楽しみながら社内外の出来事を話すことによって、これがリフレッシュにもつながります。実際に参加した人からの反応も上々で、ランチにしてからはアルバイトの人も参加するようになったという事例も報告されています。いつもよりもリッチなランチを食べられることで午後の仕事にもやる気が出たり、ランチの時間を有効に使うことで、終業後は自分の時間を過ごせる、お酒を飲めないメンバーでもおいしいもの食べながら気兼ねなく話せる、お酒によるハラスメントがないなどのたくさんのメリットがあります。

飲みニケーションの場では、お酒を飲む人と飲めない人でどうしても分断されてしまうのが実情です。以前は飲み会の場が自己開示の場となっていましたが、現代社会ではSNSなどを通じて人とつながる場が確保されています。このような意味から、お酒の力を借りることのメリットがどんどん少なくなっているといえるでしょう。

 

これは心理学でも立証されていることであり、一緒に食事をした相手や話の内容を好意的にとらえる、ランチョンテクニックと呼ばれる現象があります。コミュニケーションの活性化を図ったり、情報を共有するということに関しては、ランチでも十分に対応可能ということがわかります。

 

さらに近年ではランチよりも気軽に楽しめる交流の場として、フィーカと呼ばれるものも登場しています。これはスウェーデンで生まれた習慣の一つで、フィーカを導入する企業も非常にふえてきています。フィーカとはどのようなものなのかというと、スウェーデン語が由来となっていて、甘いお菓子やコーヒーを楽しみながら雑談をする意味があります。これは一般的な休憩に当てはまるのではないかと思う人も多いかもしれませんが、休憩と異なる点は意識的なコミュニケーションの場所になっていることであり、これが精神的なリフレッシュや意志の疎通にもつながります。

 

コミュニケーションの活性化を求める動きは海外でも

このようにさまざまな変化を遂げていることがわかりますが、以前までは飲みニケーションがコミュニケーションの柱であったといえるでしょう。しかし現代社会はライフスタイルも大きく変化し、また多様化しています。女性だけではなく男性も育児や介護などに積極的に参加する時代になっていて、終業後の時間を確保することが難しくなってきています。

 

飲みニケーションの場がランチやフィーカに変わることによって、コミュニケーションに違いがあるのかというと、それは相手によっても変わるため一概に言うことはできません。しかしランチであれば飲み会に参加できないような人との交流を持つことができ、二日酔いなどで翌日に影響することもありません。うまく活用することによって、個人にも企業にもよい効果が期待できるでしょう。